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食道がんの特徴

食道は、食べ物を、口から胃に運ぶ管状の臓器です。長さは25cmくらい。消化機能はなく、食物の通り道にすぎません。
が、通り道のがんだからといって、食道がんを軽く見ることはできません。

食道は、上体の真ん中を走っており、気管、気管支、肺、大動脈、心臓など、重要な臓器に近接しています。
また、食道の壁と周辺には、リンパ管や血管がたくさん通っています。

食道の壁の厚さは4mmくらいです。食道がんが進行すると、がん細胞が食道の壁を突き抜けて、近接する臓器に、広範囲に転移する危険があります。

食道がんは、内側の粘膜層で発生することが多く、だんだん粘膜下層→固有筋層→外膜と広がっていきます。
図のT1~T4は、がんの進行度を表す専門用語です。

粘膜下層まで広がると、リンパ節に転移する危険が高くなります。外膜を突き抜けると、周辺臓器への転移が懸念されます。

食道がんの主な症状

初期の段階では、自覚症状がないことが多いようです。
症状の進行とともに、次のような自覚症状が表れるようです。下に行くほど、がんは進行しています。

  1. 食べ物や飲み物を飲み込んだときに、胸の奥がチクチク痛んだり、しみるように違和感がある。
  2. 食物を飲み込むと、つかえる。
  3. 体重の減少。
  4. 胸の奥や背中の痛み。
  5. 飲食すると、むせるような咳が出る。あるいは、血の混じった痰(たん)が出る。
  6. 声のかすれ。

3番目から下は、食道がん以外でも、ありがちな症状です。判断が難しいですが、万が一食道がんだと大変なので、早く診察を受けたいです。

【参考サイト】

食道がんの5年生存率
診断から5年後に生存している割合

5年生存率とは、がんと診断された人が、5年後に生存している割合です。数字が大きいほど、治療後の経過は良好です。
がんの治療成績を評価するときに、重視される数字です。

全国の主要な32の病院によって構成される、全国がん(成人病)センター協議会が調査した、部位別臨床病期別5年相対生存率(2004-2007年診断症例)によると、食道がんの5年生存率は、下表のとおりです。

治療開始時のがんのステージ 生存率
I がんが粘膜にとどまっているが、リンパ節に転移。または、粘膜下層まで広がっているが、転移無し。 85.4%
II がんが食道の壁の外に少し出ているか、食道内のリンパ節に転移しているけれど、他の臓器には転移していない。 51.3%
III 食道付近のリンパ節に転移しているけれど、他の臓器には転移していない。 26.6%
IV 他の臓器または遠くのリンパ節に転移している。 11.6%
全体 42.4%

日本人がかかりやすく、死因になりやすい3つのがん、肺がん大腸がん胃がんと、食道がんの5年生存率を比較したのが、下のグラフです。

主要ながんと食道がんの5年生存率

食道がんの、全症例の5年生存率(42.4%)は、肺がんの43.8%に近い数字になっています。これは、がん全体の中でも、低い数値です。

食道がんは、比較した3つのがんに比べて、発症数は少ないものの、発見が遅れると、危険性が高いがんです。

食道がんの治療

開胸手術 I~III期では、外科手術が、もっともよく採用される治療です。
食道がんの外科手術は、通常は、食道の大部分と転移が疑わしいリンパ節をします。また、切除した食道のかわりに、胃を伸ばして代用します。
食道周辺には重要な臓器が集中しており、5~10時間以上の、大きな手術になるようです。
身体の負担を軽減するために、開胸しない、胸腔鏡下手術も広がりつつあるようです。
胸腔鏡下手術
  • 胸腔鏡(カメラ)を使用することで、切開する範囲を狭くできる。身体への負担が小さい
  • 現時点では、複雑な手術には、向かない(使える器具が限られる、突然の出血等に弱いなどから)。
  • 開胸手術より、がんを取り残すリスクが高い、とする専門家もいる。
  • 早期のがんに限って採用するところから、ほとんどの症例で採用するところまで、病院によって取り扱いに差がある。
放射線治療・薬物療法 I~III期では、体力面などで手術が難しいときに、実施されることが多いようです。また、手術の前後に、手術の負担を軽くしたり、再発防止のために、放射線治療・薬物療法がおこなわれる例が増えているそうです。

一方、IV期では、手術をおこなうことはまれで、放射線治療・薬物療法が、主たる治療になるようです。ただし、がん細胞を消失させることは難しく、かなりの副作用があるようです。

このサイトでは、実績に基づく病院ランキングに、全国の病院の治療実績を掲載していますが、食道がんの手術数は、他のがんに比べて、極端に少ないです。
2015年の実績だと、全国40位の病院の年間手術数は39件でした。肺がんの全国40位は155件なので、4分の1です。

上の表のように、食道がんの手術の難易度は高いのに、医師が経験を積む機会が乏しいため、病院選びが難しくなります。

平均的な入院日数 22.7日

※厚生労働省の患者調査(平成26年)より。

入院日数は、がんの平均(19.9日)よりは長いものの、全体平均(31.9日)よりは短いです。

食道がんの治療は、ご自宅から遠くなっても、実績のある病院を選びたいです。

食道がんになった有名人

2000年以降で、食道がんであることを公表した有名人を、亡くなった人を含めて、何人かご紹介します。

赤塚不二夫さん

漫画家。「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」「天才バカボン」「もーれつア太郎」など。

1997年に食道がんと診断。診断直後は、手術を拒否するも、その後、手術や放射線治療を受ける。

結局、2008年に、肺炎で、72歳で亡くなられました。

桑田佳祐さん

シンガーソングライター。サザンオールスターズのボーカル。ヒット曲多数。

2010年、54歳のときに、食道がんと診断。

その年に手術を受け、年末の紅白歌合戦で、音楽活動を再開。

岡田真澄さん

俳優。映画、テレビ、ミュージカルと幅広く活躍。

2006年に、食道がんで、70歳で亡くなられました。

食道がんが見つかったのは、死去の約1年前。手術を受け、いったん仕事に復帰するも、直後にリンパ節への転移が判明。

やしきたかじんさん

歌手、タレント、司会者、ラジオパーソナリティ。

2012年1月に食道がんと診断。抗がん剤治療と外科手術を受け、療養生活を経て、2013年3月に仕事に復帰。

しかし、転移が見つかり、同年5月には入院。2014年1月に、事故(食物が喉に詰まる)により死去。

立川談志さん

落語家。落語協会を脱退し、立川流落語会を立ち上げる。

1997年に食道がんであることを公表し、手術を受ける。

その後、2008年に喉頭がんが見つかり、放射線治療でいったん回復。しかし、2010年に再発し、2011年11月に75歳で死去。