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がんの通院に保険で備える

がん治療について調べていると、QOLという言葉をよく目にします。
QOLとは、Quality of Life(=生活の質)の省略です。

がんのような大きな病気は、症状や副作用、あるいは治療にかかる時間・費用により、日常生活の質を大なり小なり悪化させます。
最近のがん治療では、やみくもに治癒や症状の改善を目指すのではなく、患者のQOLの維持や向上に配慮する姿勢が浸透しているそうです。

通院でできる治療が急速に広がっているのも、そういう取り組みの一つであるそうです。

こうした動きは、保険にも影響しています。かつては入院費用の準備一辺倒だったのですが、通院治療向けの保障がどんどん増えています。

このページでは、保険によるがんの通院費用の準備について、ご案内します。

通院患者数は大幅に増えている

まず、がんの通院の実態を確認しましょう。

通院患者数はこの10年で急増

厚生労働省『患者調査』(平成26年)もとに、ここ10年くらいの、がんの入院患者数と通院患者数の推移を、グラフにしました。

この10年間の、がんの通院患者数の推移グラフ

この調査は3年毎の実施なので、いつから逆転したか正確にはわかりませんが、10年ほど前に通院患者数が上回って、その後着々と差を広げています。

がんの種類別、入院・通院患者数

続いて、主ながんの、入院患者数と通院患者数を抜き出しました。患者数の多い順に並べています。

がんの種類 入院 通院
大腸がん 18,900 28,000
肺がん等 18,800 16,100
胃がん 13,500 19,200
乳がん 5,400 24,300
前立腺がん 4,900 20,000
肝がん等 6,900 5,500
膀胱がん 4,300 6,400
子宮がん 3,300 6,300
膵がん 5,600 3,800
食道がん 4,900 3,400

乳がんと前立腺がんは、通院患者数の方が極端に多いです。子宮がんも、通院患者数が2倍に近いです。

ちなみに、入院患者数が多いがんは、いずれも5年生存率の低い、つまり亡くなる確率が高いがんです。

放射線治療や化学療法は、通院が多い

がんには、三大治療と呼ばれる主流の治療法がありのす。手術放射線治療抗がん剤治療の3つです。

日本医療政策機構『あなたの思いを聞かせてください!がん対策に関するアンケート調査』(平成23年)によると、回答したがん患者の、これまでに受けた治療の割合は、下のようになっています(複数回答あり)。

がんの三大治療の実施割合のグラフ

このうち、放射線治療と抗がん剤治療は、通院で実施されることが多くなっているようです。

医療技術の進歩

以前は、放射線治療と抗がん剤治療も、原則として入院でおこなわれていたそうです。
これらの治療は強い副作用が出やすく、医師の管理下で実施されるのが一般的だったようです。

その後、医療技術の進歩に伴い、副作用を低減させたり、コントロールできるようになりました。おかげで、現在では通院で実施できるようになっているとのこと。

通院でも治療費が安くなるとは限らない

通院でできる治療の拡大は、患者のQOL(=生活の質)の改善につながります。

しかし、治療費が大幅に安くなるとは限りません。
高性能な医療機器や高価な薬品のおかげで、通院での治療が可能になっているわけで、費用はそれなりにかかります。

例として、放射線治療の治療費を、試算しました。
放射線治療の費用は、以下の2項目から算出されます。

放射線治療管理料 27,000〜34,000円
照射料(1回あたり) 9,300〜15,800円

日本放射線腫瘍学会『2015年度調査報告書』によると、乳がんの放射線照射回数の平均は24.0回です。

24回照射を受けたときの医療費を、上をもとに計算すると250,200〜413,200円になります。
これは放射線の照射のみの金額です。実際にはこの他に、検査代や副作用の薬代などが加算されます。

もっとも、わたしたちが負担するのは、健康保険等の自己負担割合に応じて、上の金額の1〜3割です。
3割負担だと、75,060〜123,960円になります。

この自己負担分を、保険や預貯金で準備しなければなりません。

がんの通院治療費は、他の重病より高額

がんの1日あたりの通院費用を、他の重病と比べると、けっこう高いです。

1日あたりの通院費用を比較

七大生活習慣病の、1日あたりの通院費用を、厚生労働省『医療給付実態調査』(平成27年)から算出して、表にまとめました。自己負担額ではなく、実費です。
なお、( )の数字は1日あたりの入院費用です。比較用です。

病名 1日あたり
医療費
胃がん 18,788
(49,010)
肝がん 24,182
(50,102)
大腸がん 29,189
(54,627)
肺がん等 36,518
(49,951)
乳がん 31,437
(57,577)
糖尿病 13,357
(25,482)
高血圧性疾患 7,924
(21,486)
虚血性心疾患 11,631
(91,610)
脳梗塞 9,589
(28,812)
肝硬変 12,373
(29,228)
腎不全 30,407
(33,659)

がんは5種類を掲載しました。いずれの通院費用も、( )内の入院費用に比べると安く見えます。

しかし、他の病気の通院費用と比べると、どれも高いです。
それどころか、がんの通院費用は、糖尿病や高血圧性疾患の入院費用と比べると、同程度か、もっと高額です。

通院が何日も連続することはまれなので、入院のようなまとまった出費にはなりにくいです。
それでも、がんは年単位で治療に取り組む病気なので、積もり積もればそれなりの金額になります。

がんの種類によっては、1日あたりの通院費用は、他の病気の入院並みの料金になります。

通院でも、高額療養費制度を使える

健康保険等の公的医療保険に入っていれば、誰でも高額療養費制度を利用できます。

この制度では、年齢と収入によって、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が決まります。
どれだけ高額な治療を受けても、保険が適用される治療である限り、わたしたちの負担額が、高額療養費制度の上限を超えることはありません

たとえば、70歳未満の平均的な収入の人が、ある月に実費50万円の治療を受けたとします。
健康保険だと3割負担なので、15万円の自己負担になります。この人が高額療養費制度を使うと、自己負担額は82,430円になります。

この制度は、一般的には入院で使われることが多いですが、通院費用でも活用できます。その分、自己負担額が下がるので、有用な制度です。

保険で通院費用を準備する方法は3パターン

保険で、通院費用を準備するなら、3通りの方法が考えられます。

うまく使えば、このうちの一つで十分に対策できます。ただし、それぞれ長所短所があるので、どれか2つを組み合わせることで、完成度は高くなります。

通院給付金

加入する時点で、通院1回あたりの給付金額(保険から出る金額)を決めておきます。
通院回数分の給付金を受け取ることができます。

通院費用の準備方法として、わかりやすいです。しかし、現在販売されている保険の通院給付金には、多くの制限が設けられていて、通院してもお金が出ないケースが多いです。

たとえば、入院後半年間の通院のみ保障されるとか、三大治療のための通院のみ保障される、というような制限です。

放射線治療給付金、抗がん剤治療給付金、治療給付金

加入している保険にこれらの給付金があると、それぞれの治療を受けたときに、あらかじめ決まっている金額の一時金が出ます。

がんの三大治療である手術、放射線治療、抗がん剤治療には、それぞれの治療に対応した給付金があります。

手術給付金は、ほぼすべてのがん保険・医療保険に、標準で組み込まれています。
また、放射線治療給付金を、手術給付金と同じように扱う保険商品が増えています。

この2つに比べると、抗がん剤治療給付金を提供する保険商品は、まだ少ないですが、複数あります。

治療給付金というのは、手術給付金・放射線治療給付金・抗がん剤治療給付金の3つを一体化させた給付金です。三大治療のどれかを受けたら、給付金が出ます。
保険会社によっては、三大治療以外も保障範囲に加えています。

放射線治療と抗がん剤治療は通院でおこなわれることが多いです。よって、これらの給付金があれば、がんの通院費用をある程度カバーできます。

診断給付金(診断一時金)

診断給付金(診断一時金)があると、がんという診断が確定したら、まとまった金額の一時金をもらえます。

診断確定が支払条件なので、治療が始まる前でも一時金を受け取ることが可能です。
受け取ったお金は、入院にも通院にも使うことができます。

使い勝手が良いせいか、ほとんどのがん保険、医療保険で用意されています。
三大疾病の一時金や七大生活習慣病の一時金というように(三大疾病にも七大生活習慣病にもがんは含まれています)、他の病気とセットで販売されていることも多いです。

より詳しい説明は・・・

通院給付金がすぐれたがん保険

医療保険やがん保険を調べると、がんの通院給付金(通院した日数分のお金が出る)がある商品は、けっこう多いです。

制限が多い通院給付金

ところが、その中身を調べると、機能制限されているものが多く、頼りない商品の方が多いです。

たとえば、東京海上日動ひまわり生命『がん治療支援保険NEO』のがん通院特約だと、保障されるのは、入院前60日以内、退院後180日以内の通院に限定されます。
要するに、入院前後の数カ月間の通院しか保障されません。とても限定的です。

たまたま『がん治療支援保険NEO』を例にあげましたが、通院特約の大半に、このような期間制限が設けられています。

保険会社は、全般的に通院保障に消極的です。
治療に必要不可欠な通院と、患者の早とちりや気休めの通院とを、保険会社は厳密に判別できません。そのため、後ろ向きになってしまうようです。

がんの通院給付金が強力ながん保険

頼りない通院給付金がまだ多数派ですが、最近になって、力強い通院給付金が、いくつか登場しています。

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命『勇気のお守り』

外来治療給付金(=通院給付金)は、1年間につき120日までを限度に、医師によるがんの外来治療(通院・往診)を保障します。入院の有無は関係ありません。
また、公的に認められる治療なら、幅広く保障されます。

1年間につき120日までという限度は、十分に長いです。しかも、次の1年に入ったら、また120日までの保障を受けられて、通算無制限です。
実際に使うときに、日数制限を気にしながら通院することは無いでしょう。

三井住友海上あいおい生命『&LIFE 新ガン保険α』

ガン治療通院給付特約を付加すると、診断確定から5年間の、がんの通院が保障されます。

5年経過後に、再発・転移が見つかったり、入院を開始したら、そこから5年間は通院保障を受けられます。

公的に認められる治療なら保障の対象になります。治療法の制約はゆるやかなので、安心できます。

メットライフ生命『ガードエックス』

終身ガン通院サポート給付特約を付加すると、1年に60日を限度に、がん治療のための通院費用を保障してくれます。

診断確定後の、医師による外来・往診の治療であれば、保障されます。幅広くて安心できます。

ただし、この商品は治療給付金を主契約にしており、将来に不安があります。詳しくは、以下でご説明します。

保険の入り方・選び方については・・・

治療給付金は保障の柱にはできない

治療給付金というのは、がんの三大治療である手術・放射線治療・抗がん剤治療のいずれか(商品によっては他の治療も)を受けたら、所定の一時金が出る給付金です。

この給付金を採用するがん保険・医療保険は増えています。

他の給付金の欠点を補える

診断給付金と通院給付金には、明らかなメリットがありますが、小さくない欠点もあります。

診断給付金は、診断が確定したらお金が出ます。その後の治療が高額か低額か、長期か短期かなどにかかわりなく、所定の金額が出ます。言ってみれば“気前の良い”給付金です。
しかし、気前が良い=お金が出やすいということは、保険料も高くなりやすいです。

通院給付金は、ズハリ通院費用を保障する仕組みなので、過不足が出にくいように思えます。
しかし、入院と違って、同じ程度の治療を要する患者でも、時間に余裕があって、頻繁に通院できる人の方がトクをする、というような不公平が起こりやすいです。
保険会社には、その不公平を正す手段がありません。

治療給付金はムダが発生しにくい

治療給付金は、医師の管理のもとで、保険会社所定の治療を受けたときに、お金が出ます。
しかも、給付金はあらかじめ決められた金額です。

保険料は程よい金額に落ち着きますし、利用者間での不公平は起こりにくいです。
診断給付金と通院給付金の欠点をうまく免れていて、合理的に見えます。

治療給付金の大きな弱点

しかし、治療給付金には、診断給付金や通院給付金にない、大きな弱点があります。何かというと・・・

がんの治療法が変化すると、保障として劣化する危険が大きい。

という弱点です。
がんの治療法は、研究開発が活発で、変化しやすいです。治療法に立脚する治療給付金は、長期的に見ると危ういです。

もちろん、現在の三大治療が、数年後に廃れることは考えにくいです。

とは言え、がんになるリスクが高くなるのは70代以降です。仮に40歳で保険に加入しても、保険を使うのは30〜40年後になる可能性が高いです。

グラフは、厚生労働省『患者調査』(平成26年)から、年代別のがんのかかりやすさを表しています。ピークは80代です。

年代別のがんのかかりやすさのグラフ

30年、40年後に、今の三大治療がどうなっているか、どんな新しい治療法が登場しているかは、予測困難です。
だからこそ、治療法が変化しても、対応できる保障にしておきたいです。

そういう意味で・・・

治療給付金は、現在の治療法にリンクしているので、劣化する危険が大きいです。

主契約が治療給付金の商品を、候補から外す

治療給付金が経年劣化しやすいと言っても、短期間で廃れるとは考えにくいです。
よって、他の保障を補うために、治療給付金の特約を付加する、というような使い方は“あり”でしょう。
劣化してきたら、特約を外せば良いわけですし・・・

しかし、

主契約(商品の中核であり、外せない保障)が治療給付金の商品は、候補から外すべきです。

そうした商品だと、治療給付金が劣化して止めたくなったら、解約するしかありません。そして、新たに保険に入り直さなければなりません。

数十年後に、新しい保険に入り直すと、保険料は数倍に膨れ上がります。

より詳しい説明は・・・

結論:がんの通院に強い保険

通院でがんに取り組む可能性は、現時点で高いですし、これからもっと高まりそうです。
そして、がんの通院費用は、入院費用よりは低いものの、通院としてはなかなか高くつきます。

がんの治療費を、保険で準備するなら、通院の保障も視野に入れておきたいです。

保険の給付金(保険から出るお金)のうち、がんの通院対策としておすすめしたいのは、以下の2つでした。

がんの通院給付金が手厚い保険商品

通院給付金を持つがん保険・医療保険は増えていますが、その多くは、使える場面が限定されすぎています。
幅広く使えそうな、ありがたみのある通院給付金がある商品は、今のところ限られています。

ただし、メットライフ生命『ガードエックス』は、総合的にはお勧めできません。なぜなら、主契約が治療給付金だからです。

がんの診断給付金がある保険商品

がんの診断給付金は利便性が高く、ほとんどすべてのがん保険や医療保険に用意されています。

その中でも、診断給付金のみを主契約にしたがん保険が、以下の商品です。

がんの診断給付金をメインに保障を組み立てるなら、良い選択肢です。

しかし、選択肢は他にもいろいろあって、迷うほどです。
そこで、別のページで集中的に取り上げています。詳しくは一時金が出る保険の選び方とおすすめをご覧ください。

治療給付金は、おすすめできない

所定の治療(たいていはがんの三大治療)を受けると、一時金(治療給付金)が出る保険商品が増えつつあります。

現時点に限って見ると、なかなか合理的な仕組みの給付金です。

しかし、治療法は時とともに変化します。よって、治療給付金は、経年劣化のリスクが高い給付金です。

他の給付金の補助として活用するならともかく、メインの保障に据えるのはリスキーです。
以下の商品が該当します。候補から外すことをおすすめします。

詳しい説明は経年劣化が心配されるがん保険を実名でをご覧ください。

保険の入り方・選び方については・・・

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