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がんの通院に保険で備える

医療技術の進歩に伴って、通院(=外来)でがんの治療を受ける機会が多くなっています。

一般的に、通院費用は入院費用より安くなります。とは言え、高額の機器や薬を使うことが多く、他の病気に比べると、高額になりやすいと言われています。

このページでは、保険を使って通院費用の準備するときの、ポイントを解説しています。

通院患者数の方が多い

まず、がんの通院の実態を確認しましょう。

通院患者数が増加中

厚生労働省『患者調査』(令和2年)もとに、ここ10年くらいの、がんの入院患者数と通院患者数の推移を、グラフにしました。

通院患者数 入院患者数 20万人 10万人 0人 2011年 2014年 2017年 2020年

がんの種類別、入院・通院患者数

続いて、主ながんの、入院患者数と通院患者数を抜き出しました。人数の多いほうが赤い文字になっています。

がんの種類 入院 通院
大腸がん 17,100 23,000
肺がん等 15,700 16,600
乳がん 5,100 23,000
胃がん 10,100 12,600
悪性リンパ腫 7,200 5,200
肝がん等 4,600 3,800
子宮がん 3,300 6,300
白血病 4,300 2,100

がんの通院治療費は、他の重病より高額

がんの1日あたりの通院費用を、他の重病と比べると、けっこう高いです。

1日あたりの通院費用を比較

七大生活習慣病の、1日あたりの通院費用を、厚生労働省『医療給付実態調査』(令和4年度)から算出して、表にまとめました。自己負担額ではなく、実費(=10割負担の金額)です。

病名 1日あたり
医療費
肺がん等 66,925
肝がん 66,028
乳がん 36,739
胃がん 31,820
大腸がん 31,466
子宮がん 24,596
糖尿病 14,407
高血圧性疾患 8,174
虚血性心疾患 12,638
脳梗塞 10,627
肝硬変 15,290
腎不全 29,150

がんの通院費用は、他の病気と比べると、どれも高いです。

がんの種類によっては、1日あたりの通院費用は、他の病気の入院並みの料金になります。

通院でも、高額療養費制度を使える

健康保険等の公的医療保険に入っていれば、誰でも高額療養費制度を利用できます。

この制度では、年齢と収入によって、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が決まります。
どれだけ高額な治療を受けても、保険が適用される治療である限り、わたしたちの負担額が、高額療養費制度の上限を超えることはありません

この制度は、入院はもちろんですが、通院費用でも活用できます。

並の通院給付金はあまり役に立たない

がん保険や医療保険には入院給付金があります。入院給付金があれば、がんによる入院費用の全部または大半をカバーできます。

同じように、多くのがん保険や医療保険には通院給付金があります。残念ながら、通院給付金はがあっても、がんによる通院費用の一部しかカバーできません。

通院給付金の仕組み

通院給付金も、入院給付金と同じように、通院1日あたりの給付金額が決まっていて、通院した日数分を受け取ることができます。

通院給付金は制約がある

販売されている通院給付金には、入院給付金では見られないような、いろいろな制約が課されています。たとえば・・・

要するに、通院給付金のほとんどは、通院費用のごく一部しかカバーできないです。

【お勧め➀】診断給付金(診断一時金)

現実的に考えると、がんの通院費用の大半を保険で補うには、診断給付金(診断一時金)が有用です。

診断給付金の仕組み

がんという診断が確定したら、まとまった金額の一時金をもらえます。お金の使いみちは自由なので、その一部を通院費用に回すことができます。

受け取ることの出来る回数は、商品によって異なります。

がんは転移・再発する病気なので、複数回もらえるほうが安心です。

1回あたりの受取額が大きいなら(200万円以上)、「2年に1回」でも十分です。

逆に、「1年に1回」にすれば、1回あたりの受取額は50万円くらいでも、なんとかなりそうです。

受取額を大きくするほど、保険料が高くなるので、総合的にご判断ください。

診断給付金の弱点

一時金の金額を加入するときに指定するので、実際にかかる費用とは一致しない恐れがあります。

ほとんどの商品が提供している

がん保険、医療保険のほとんどが、診断給付金を提供しています。

選択肢が多いことも、診断給付金のメリットです。

【お勧め➁】手厚い通院給付金

上でご説明したように、がんの通院給付金は、大半が期待はずれです。しかし、少数ながら、頼りになる商品もあります。

SOMPOひまわり生命『勇気のお守り』

外来治療給付特約を付加すると、通院費用が保障されます。

1年間につき120日までという制限を超えなければ、がんの通院治療費用の大半を保障してくれます。

がんの治療をおこなわない通院は、対象外になります。

対象になるかならないかは、医療機関の診療報酬の明細などから、保険会社が判断します。

三井住友海上あいおい生命『&LIFE ガン保険Sセレクト』

ガン治療通院給付特約を付加すると、通院費用が保障されます。

がんの治療をおこなわない通院(検査、経過観察、薬の処方、美容上の処置、合併症の治療のみを目的とした通院等)は、対象外になります。

【要注意!】治療給付金にはリスクがある

がん保険・医療保険には、治療給付金(○○治療給付金というのも含みます)が複数用意されています。所定の治療を受けると、入院か通院かに関係なくお金をもらえます。

治療給付金はお勧めしません。付けるとしても、必要最低限にしていただきたいです。

治療給付金は劣化が激しい

治療給付金は、個々の治療法に直結しています。だからこそ、現時点では合理的でムダが少ないです。

しかし治療法は変化します。とくに、がんは国民病なので、変化のペースが速いです。

治療法が変化したら、治療給付金は劣化します

治療給付金はせいぜい三大治療に限る

がんには、三大治療と呼ばれる主流の治療があります。

がん保険には、これらの治療に対応した給付金があります。手術給付金抗がん剤治療給付金放射線治療給付金です。

治療給付金を付けるとしても、せいぜいこの3つくらいにしましょう。

個々の治療法が変化しても、治療は入院か通院のどちらかでおこなわれます。しっかりして入院給付金と通院給付金を確保できていれば、保障の劣化はわずかになります。

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