チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」を徹底分析
チューリッヒ生命はスイスの保険会社チューリッヒ保険の日本法人です。
そんなチューリッヒ生命のがん保険「終身ガン治療保険プレミアムZ」を徹底分析します。
チューリッヒ生命はスイスの保険会社チューリッヒ保険の日本法人です。
そんなチューリッヒ生命のがん保険「終身ガン治療保険プレミアムZ」を徹底分析します。
がん保険や医療保険に求める条件(がんの保障に関して)はいろいろあるでしょうが、とくにご注意いただきたいことがあります。
下のグラフは、新規でがんにかかった人数を年齢層別にあらわしています。『がん統計2021』(がん研究振興財団)をもとに作成しました。
60代後半から急増し、70代がピークです。
80代に入って人数が減っているのは、亡くなる人数が多くなるためと考えられます。
2020年の日本人の平均寿命は、男性が81.64歳、女性が87.74歳でした。
がんにかかる確率が格段に高くなるのは70代以降です。よって、70代になったときに使えなさそうながん保険、医療保険は、ダメな保険商品ということです。
たとえば、30代の人なら40年後、40代のことなら30年後に使い物になりそうかが、保険選びのポイントになります。
保険に加入しても、その商品のクオリティはわかりません。
保険の実力がわかるのは実際に使うときで、たいていは加入から数十年後です。
保障内容が現在の治療法に依存している商品は、劣化しやすいです。現在の“最新”は、30~40年後には時代遅れですから。
とくに、主契約の支払条件に、特定の治療法が含まれていたら要警戒です。
そして、チューリッヒ生命のがん保険「終身ガン治療保険プレミアムZ」は、そういう商品です。
「終身ガン治療保険プレミアムZ」のおもな保障のうち、あきらかに劣化しそうなのが、ピンクの部分です。
主契約(はずせない部分)が抗がん剤治療給付金になっているのは珍しいです。三大治療の一つ、抗がん剤治療に重きを置いています。
また、自由診療(=健康保険適用外)の抗がん剤治療も保障してくれます。
ところで、「ご契約のしおり」によると、給付金の対象となる抗がん剤とは、以下のいずれかに当てはまるものです。
ライバル商品より抗がん剤の範囲が広くなっており、保障範囲としては十分に広いと感じられます。
しかし、がんに効く薬品の開発は日進月歩です。今後開発されるであろう抗がん剤も、しっかり保障してもらえるのでしょうか?
今後開発される薬でも、「ご契約のしおり」に列記されているいずれかの分類に当てはまれば、保障対象になります。
逆に言うと、どの分類にも当てはまらない新薬は、保障対象外になりそうです。
上の世界保健機関(WHO)の医薬品分類L04が設けられたのは1994年です。
そして、現在L04の抗がん剤は、L01と並んで最もよく使われるようになっています。
今後、同じようなことが起こるかもしれません。というか治療の進化という意味では、起きてほしいです。
抗がん剤給付金の例をご覧いただきましたが、他でも(上のイメージ図のピンク色の部分)支払条件に治療法が記述されています。
それらは当然ながら現時点の治療法です。
つまりこのがん保険は、実質的に未来の治療法は予測可能な範囲で対応すれば良しと割り切っています。
早いか遅いかの違いあれ、時代遅れになるリスクは大きいです。
国民病であるがん治療の研究開発は活発なので、30~40年後を予想するのは困難です。
だからといって、チューリッヒ生命のがん保険のように、未来の治療法は予測可能な範囲で対応すれば良し、と割り切られても困ります。
チューリッヒ生命の姿勢には、やむを得ない面があります。
無理のある予想をして保険料の設定を誤ると、将来会社の経営を圧迫することになります。
そこで、チューリッヒ生命などいくつかの保険会社は、未来の治療法は予測可能な範囲で対応すれば良し、と割り切っています。
チューリッヒ生命に限らず、最新の治療対応していることを売りにするがん保険は多いです。その方が消費者ウケが良いのでしょう。
ただ、最新の治療法に対応できることと、保障内容を現時点の最新状態に固定することとでは、意味が違います。
保険会社は商品改定を随時おこなって商品を最新状態に保てますが、それぞれの加入者の保障はそのたびに少しずつ時代遅れになっていきます。
劣化しそうな給付金があっても、それが主契約でないなら、保障プランの作り方次第で避けることができます。
あいにくチューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」は、上のように主契約にリスクがあります。
ですので・・・
チューリッヒ生命のがん保険は、お勧めできません。
すでにチューリッヒ生命に加入している方が、すぐに他社商品に切り替える必要はありません。
チューリッヒ生命のがん保険のすべてがダメではないですし、他社のライバル商品にも欠点があります。
そして、すでに加入している保険には、(今より若いときに加入したので)保険料安いというあきらかな強みがあります。
保険を見直すことで、それを上回るメリットが得られるかを、慎重に見極めてください。
このがん保険でもう一つ気になるのが、主契約が抗がん剤治療給付金だけという仕組みです。
チューリッヒ生命のがん保険のようにネット通販されている商品では、誰にでも必要であろう保障を主契約に集約するのが良心的だと思います。
国立がん研究センターが提供する「院内がん登録 全国集計結果閲覧システム」の2020年度のデータによると、日本人がかかりやすい肺がんと大腸がんでは・・・
治療法 | 肺がん | 大腸がん |
---|---|---|
手術 | 34.9% | 35.5% |
放射線治療 | 8.6% | 0.3% |
抗がん剤治療 | 20.3% | 5.0% |
どちらのがんも、手術がもっとも多くなりました。一方、抗がん剤治療は、大腸がんではあまり実施されていません。
ガン手術特約やガン入院特約を付加すれば手術費用(そしてそれに伴う入院費用)を準備できます。逆に言うと、これらの特約をつけ忘れた人は、がんになったときに当惑する恐れがあります。
もし保険料を安く見せるために、主契約を抗がん剤治療給付金だけにしているとしたら、会社の姿勢に問題があるかもしれません。
チューリッヒ生命「終身ガン治療保険プレミアムZ」をご検討でしたら、こちらの商品とぜひ比較してください。
最近のがん保険は多機能な商品が多いので、比較できるポイントはいくつもあります。
そんな中で、とくに重要と考えられるのが以下の3点です。
“最新”の治療に対応していることを誇っている商品は、これらをクリアできない可能性が高いです。
次のがん保険は、それぞれ長所・短所はありますが、上にあげた条件をクリアできているか、(保障プランの組み方次第で)クリアできる商品です。
FWD生命「FWDがんベスト・ゴールド」 |
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診断給付金メインのがん保険。この診断給付金が他社に比べて有能です。 |
SOMPOひまわり生命「勇気のお守り」 |
2タイプありますが、お勧めは【がん診断給付型】だけです。 診断給付金メインのがん保険です。診断給付金が有能であるのに加えて、通院給付金(がん外来治療給付特約)も守備範囲が広いです。 |
東京海上日動あんしん生命「がん診断保険R」 |
診断給付金メインのがん保険です。上の2商品には及びませんが、診断給付金は十分に実用的です。 この商品には、他社にはない健康還付給付金という仕組みがあります。それとの相性が決め手になりそう。 |
三井住友海上あいおい生命「&LIFE ガン保険スマート」 |
入院給付金メインのがん保険ですが、最大の魅力は守備範囲の広いガン治療通院給付特約です。 この特約とガン診断給付特約を付けると、スキの少ない保障が出来上がります。 |
詳しいことはこちらで・・・
効率的に検討を進め、正しく判断するために、保険のプロの活用をお勧めします。
保険の中でも、がん保険には特有のむつかしさがあります。
ひとつの商品を理解するだけなら、そんなに難しくないでしょう。しかし、商品の比較に取りかかると、悩む場面が増えるはずです。
そこで、保険のプロの活用をお勧めします。
検討を的確かつスムーズに進めるために、次の条件を充たす保険のプロを活用したいです。
こうした条件を充たするのは、保険専門のファイナンシャル・プランナーです。
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相談するファイナンシャル・プランナーのがん保険についての考え方は、このサイトとは異なるかもしれません。
がん保険は長く続けるものなので、さまざまな考え方に触れたうえで、ご自身で納得して決断してください!
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