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先進医療は、開発・検証段階の医療技術

評価が定まっていない医療

先進医療は、健康保険など公的医療保険の対象外です。治療費は高額になりがちです。"先進"だから、費用が高いのでしょうか?先進医療は贅沢品なのでしょうか?

先進医療が、健康保険など公的医療保険の対象外なのは、医療技術としての評価が定まっていないからです。

先進医療は、確かに、新しい医療技術です。しかし、先進医療を受けるということは、ちょっと刺激的な言い方をすると、高い治療費を払って、治療法の実証実験に協力しているようなものです。

もちろん、先進医療技術やそれを実施する医療機関は、厚生労働省によって厳格に管理されています。裏付けのある医療技術ですし、危険性は低いです。ただし、治療効果の確度も低くなります。

効果が認められない先進医療もある

先進医療技術は、健康保険等の公的医療保険が適用される医療技術に昇格すべく、検証・評価が重ねられます。しかし、上手くいくとは限りません。

平成29年1月12日先進医療合同会議の資料によると・・・

つまり、先進医療技術を受けても、効果を実感できない可能性は、それなりにあります。

先進医療は全額自己負担

先進医療は、健康保険等の公的医療保険の適用が認められていません。その費用は、10割自己負担となります。

健康保険が適用される費用もある

ただし、先進医療を受けるためにかかった費用の全額が、10割負担になるわけではありません。

保険が適用される治療でもおこなわれる診察、検査、投薬の費用や、入院費用などは、健康保険等の適用(割引)を受けることができます。

周辺の費用も高くつきやすい

また、先進医療を実施できる医療機関は限られています。実施件数が最も多い陽子線治療で9ヵ所、それに次ぐ重粒子線治療で5ヵ所しかありません。

付き添ったり見舞ったりする人の交通費とか宿泊費など、周辺の費用も、通常の治療より多くかかる危険があります。

先進医療の費用例

先進医療の費用は、ピンからキリまであります。がんに関連のある治療法の費用を、上の厚生労働省の資料から、いくつか抜粋します。

陽子線治療 2,760,022円
重粒子線治療 3,093,057円
内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術 266,643円
腹腔鏡下広汎子宮全摘術 748,666円
ペメトレキセド静脈内投与及びシスプラチン静脈内投与の併用療法 1,175,579円
経皮的乳がんラジオ波焼灼療法 152,702円
内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下胃切除術 1,058,832円

陽子線治療、重粒子線治療に期待しすぎは禁物

陽子線治療、重粒子線治療は注目度が高い

陽子線治療、重粒子線治療は、がんの先進治療としての実施件数が圧倒的に多いです。

先進医療と認められている医療のうち、陽子線治療の年間実施件数は3番目に多くて2,016件。重粒子線治療は4番目に多くて1,787件でした(2015年7月1日~2016年6月30日)。

先進医療の年間実施件数の平均は247.8件なので、陽子線治療、重粒子線治療の実施件数は飛び抜けて多いです。

陽子線治療、重粒子線治療は、保険適用される放射線治療と似た仕組みです。ただし、放射線治療よりも、理論的には、副作用を低く抑えることができる、とされています。

副作用の心配が少ない分、積極的に治療できます。また、放射線治療ならあきらめるケースでも、治療をおこなえます。

小説家、作詞家のなかにし礼さんが、2012年に陽子線治療で食道がんから生還。その経過を出版し、話題になりました。

残念なことに、2015年に入ってがんが再発し、闘病しながら、仕事を精力的に続けられているようです。

ちなみに、再発したからと言って、陽子線治療に問題があるわけではないです。

治療する時点で見つかっているがん細胞をすべて取り除いても、その後に再発のリスクがある、というところが、がんという病気の恐ろしさです。


現時点では、放射線治療に対する優位性は、限定的

しかし、陽子線治療は2001年から、重粒子線治療は2003年から、先進医療として取り組まれていますが、未だに、保険適用の治療に昇格できていません。

2015年9月の中央社会保険医療協議会総会では、粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)を先進医療A(先進医療の中でも、優遇される区分)として継続するか否かを検討するために、関係する学会にデータの提出を求める、という方針が決められました。

すでに10年以上も先進医療として取り組みながら、今さら何をやっているの・・・と言いたくなる状況です。

一部のがんでは、粒子線治療(陽子線治療、重粒子線治療)の有効性が確認され、保険適用になっているようです。今後には期待したいところですが、現時点で、期待を持ちすぎるのは危険かもしれません。

期待は禁物といっても、がんに効果が無い、ということではありません。現在広くおこなわれている放射線治療に対して、優位とは限らない、という意味です。

大半の医療保険、がん保険が、先進医療をカバー

先進医療の費用は、全額自己負担です。特に、陽子線治療、重粒子線治療は300万円前後かかります。

これだけの金額を、いつでも使えるように準備しておくことは、簡単ではないでしょう。

医療保険、がん保険のほとんどが、先進医療の費用を保障

市販されている医療保険、がん保険のほとんどが、先進医療の費用を保障しています。特約として選べる商品が多数派ですが、自動的に組み込んでいる商品も少なくありません。

よって、医療保険やがん保険を検討するときに、先進医療に対応できるかどうかで、迷うことはありません。どれでも対応できます。

保障に違いがあるとしたら、先進医療の治療費だけをカバーするのか、それに加えて諸費用(交通費、宿泊費など)までカバーするのか、というところです。

迷うくらいなら、先進医療特約を付加

医療保険やがん保険に入るときに、先進医療の特約を付加すべきかどうか?という疑問がわくかもしれません。

上に書いた通り、お金の問題以前に、治療法として先進医療を選ぶかどうかが大問題です。費用の大きさとリスクを考えると、おいそれとは選べません。

ただ、「保険適用の治療法の実施は難しいけれど、先進医療ならできるかもしれない」という事態が絶対に起こらない、とは言えません。

そうなったときに、資金不足を理由に治療をあきらめるのは残念です。

幸い、たいていの医療保険やがん保険では、先進医療の特約を付加しても、月に数十円高くなる程度です。迷うくらいなら、特約の付加をお勧めします。

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