保険料の払い方は、生涯に払う保険料の合計額に影響する
保険料の払込方法は、負担感が小さくて、長く続けられるやり方がベストです。
ただ、複数の方法が可能なときは、できるだけトクな方法を選びたいです。
このページでは、保険の払込について、知っておきたいポイントを整理しています。
保険料の払込方法は、負担感が小さくて、長く続けられるやり方がベストです。
ただ、複数の方法が可能なときは、できるだけトクな方法を選びたいです。
このページでは、保険の払込について、知っておきたいポイントを整理しています。
保険料の払込方法を、払い込む期間で分類すると、次の2つに分けられます。
だいたいの保険商品では、加入者がどちらにするかを選べるようになっています。
それぞれの特徴や、メリット・デメリットを説明します。
生きている限り、保険料を払い込みます。
がんの保険は、一生涯必要です。そのため、医療保険やがん保険には、終身払込を採用している商品が多いです。中には、終身払込しか選べないものもあります。
その特徴は以下のとおりです。
この払込方法は、保障は一生ですが、保険料の払込期間は、“10年間”とか“60歳まで”というように、期間が区切られています。
有期払込とか短期払込とか呼ばれます。保険会社によって、表記が異なります。
終身払込と有期(短期)払込の違いの一つが、他商品への乗り換えるときの損得でした。
そもそも、将来他商品に乗り換える可能性は、高いのでしょうか?もし高いのであれば、終身払込が有利になりますが・・・
いったん保険に加入した後、他商品へ乗り換えるときは、元の保険を解約することになります。
日本では、長らく低金利が続いており、医療保険やがん保険を解約しても、解約返戻金(戻ってくるお金)は、ほとんど無いか、あってもわずかです。
終身払込に比べて、有期(短期)払込は1回あたりの保険料が大きいです。だから、保険料払込期間中に解約するとしたら、その時点までに払い込んだ保険料は、有期(短期)払込の方が高額になります。
では、解約したときに、保険会社から戻ってくる解約返戻金が、それに見合うだけ大きくなるかというと、期待薄です。
そのため、将来別の商品に乗り換えるとしたら、終身払込の方がおトクというか、損失を抑えることができます。
医療保険やがん保険は、商品開発が活発なジャンルの一つです。
数年ごとに、新商品が登場したり、商品改定がおこなわれています。
そんな状況を見ていると、数年後に保険を見直すのが当たり前と思えるかもしれません。
そういう考え方は、電気製品や耐久消費財には当てはまるかもしれません。しかし、保険商品の選び方としては邪道です。
がんの保険は、一生使うことが前提の商品です。それなのに、数年で寿命が来るとしたら、欠陥商品というしかありません。
そんな商品に加入しないことこそが大切です。
一度加入したら、一生続けられそうな保険商品を選ぶことが、鉄則です。
保険に加入するにあたっては、年数が経過しても劣化しない商品を選び、劣化しない保障プランにしましょう。
その後、新しい魅力的な保障が登場したら、元の保険を残して、新しい保障のみ新商品にしましょう。
そういう考え方に立つと・・・
将来、他商品へ乗り換えることを前提に、終身払込を優先するのは、まちがいです。
そんな選択をすると、むしろ以下で説明するように、保険料の面で大きく損をしかねません。
有期(短期)払込の方が、終身払込より、1回あたりの保険料は高くなります。しかし、有期(短期)払込は、保険料を払い込む期間が限られています。
生涯の保険料総額では、どちらが安上がりでしょうか?
アフラックのがん保険『生きるためのがん保険Days1』をサンブルに、実際に保険料を試算しました。
まずは、保険料を毎月払いとしたときの、1ヶ月あたりの金額を表にまとめました。
それぞれの年齢の女性が、入院給付金日額10,000円のプランを選んだときの、終身払込と60歳払済(60歳までに保険料払込を終える)の保険料です。
加入年齢 | 終身払込 | 有期払込 |
---|---|---|
30歳 | 3,485円 | 5,665円 |
40歳 | 5,159円 | 10,119円 |
50歳 | 6,831円 | 21,421円 |
有期払込の方が、明らかに高いです。しかも、加入する年齢が上がるほど、保険料の差は大きくなります。
有期(短期)払込は、60歳までに一生分の保険料を払い込まなければなりません。たとえば50歳加入なら、保険料払い込むのは10年間だけですから、1回あたりの保険料はそれだけ高くなります。
次に、平均寿命(女性は約87歳)まで保障を続けたときの、保険料総額を比較しました。
加入年齢 | 終身払込 | 有期払込 |
---|---|---|
30歳 | 2,383,740円 | 2,039,400円 |
40歳 | 2,909,676円 | 2,428,560円 |
50歳 | 3,032,964円 | 2,570,520円 |
有期(短期)払込の方が、いずれの年齢も、40万円前後安くなりました。
保障内容は同じで、保険料の払込方法が違うだけなのに、両者の金額の差は、ずいぶん大きいです。
有期(短期)払込の方が、生涯に払い込む保険料総額は、かなり安くなります。
ところで、上の表からは、加入する年齢が若いほど(早く加入するほど)、生涯の保険料総額が安くなることもわかります。
40代以降に医療保険やがん保険に加入する場合、1回あたりの保険料が高くて、有期(短期)払込を選びたくとも選べない、となる可能性は大いにあります。
そんな方々のために、合理的に、保険料を節約する方法があります。
健康保険など公的医療保険の中に、高額療養費制度があります。
公的医療保険を使うと、医療費の自己負担は実費の1〜3割に圧縮されます。
しかし、がんで入院したり、放射線治療を受けたりすると、1〜3割の負担でも、けっこうな金額になります。
そんなときに、高額療養費制度が頼りになります。
この制度では、年齢と収入に応じて、1ヶ月あたりの自己負担額の上限が決まります。高額な治療を受けても、保険適用の治療である限り、その上限額より高額にはなりません。
この制度の詳細は、高額療養費制度の使い方をご覧ください。
この制度では、年齢と収入で自己負担が決まるのですが、70歳を境にルールが大きく変わります。そして、70歳から自己負担が軽くなります。
制度の仕組みはそこそこ複雑なので、ここでは例として、70歳未満と70歳以上の、それぞれの平均的な収入の世帯の、自己負担額をご覧いただきます。
がんで20日間入院したときの、それぞれの自己負担額です。なお、計算にあたって、医療費を107万6千円とし、食事療養費と入院雑費を加算しています。
自己負担総額 | |
---|---|
70歳未満 | 145,790円 |
70歳以上 | 115,200円 |
高額療養費制度のおかげで、ずいぶん安くなりました。そして、70歳以上の方が安くなっています。
わたしたちの負担額が下がるなら、それに合わせて保険も軽量化できます。
2割ダウンくらいなので、保険の内容を大幅に削ることはできませんが、保障を軽量化すれば、それだけ保険料も下がります。
ちなみに、有期払込だと、70歳の時点で保険料の払込は終わっています。よって、保障を軽量化するメリットは乏しいです。
保険料の払い方には、上とは別の分類があります。払い込む頻度による分類です。
“月払い”と“年払い”は、ほとんどの商品で選択できます。“半年払い”は、取り扱っている保険会社や商品が限られます。
“一時払い”は特定の商品でのみ可能です。たいていは、商品名に「一時払〜」という言葉が入っています。
保険料は、まとめて払うほど割安になります。
もし同一の商品と保障内容で、上の4つの払込方法を選べるなら、割安さの順位は以下のようになります。
前納とは、数回分(月払い契約なら数カ月分、年払い契約なら数年分)をまとめて払い込むことです。
まとめる規模が大きいほど、割引も大きくなります。
保険に加入する時点でも、加入した後でも活用できます。
たとえば、思いがけずまとまった収入があったので、保険会社に連絡して、数年分の保険料をまとめて収める、ということもできます。
払い込む予定の全額をまとめて前納する、全期前納という手続きもありす。一時払いの商品でなくても、全期前納をすれば、一気にまとめて保険料を収められます。
なお、全期前納の取扱は、保険会社や商品によって異なります。前納できない商品もあります。
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